首の痛みや肩こり、「みなさんは感じたこと、ありませんか?」と聞かれたら、かなりの方があるでしょう? 腰痛と同様、首の痛みは、よくある症状の一つです。厚生労働省の調査では、女性で最も訴えの多い症状が肩こりであると報告されています。男性でも第2位です。首の痛みの原因は様々で、骨、筋肉、神経、椎間板などから起こるといわれています。精神的なことからも起こるといわれていて、ストレスなどが原因となることもあります。また、内臓疾患、例えば心臓や胃などの病気の際に、首に痛みが走ることもあるといわれています。
肩こりは 病気?
肩こりは、なぜ起こる?
では、僧帽筋は、なぜ硬くなるのでしょうか?
多くは運動不足と言われます。筋肉は、あまり使わないでいると柔軟性がなくなり硬くなると言われます。それが肩こりを引き起こすのです。ところが、運動不足以外にも僧帽筋が硬くなる原因はあります。筋肉は神経からの電気刺激で動きます。ですから、神経に異常があって、異常な電気信号が出ることで筋肉の異常な収縮が起こり、硬くなることもあるのです。多くは頚椎の中で変形した骨や、椎間板という軟骨で神経が圧迫されることによります。
肩こりは、精神的な影響、特にストレスでも起こりやすいと言われています。コンピューターのモニターを見ての仕事や、細かい作業を続けなければならない時は、1時間に1回程度は、肩を回したり、肩すくめの運動をして、肩の筋肉を動かしましょう。筋肉が硬くなると、血液の流れが悪くなり、老廃物がたまって、肩こりや痛みが強くなってしまいます。このように、表面的には同じ肩こりでも、その原因は様々なのです。
肩こりと内蔵疾患
「寝た時、手がしびれる、夜中に手がしびれて目が覚める」
こんなことありませんか?
頚椎で神経の圧迫がもともとある人に起こりやすいといわれています。多くは寝ている間に頭が沈み込んで、頚椎が後屈(後ろに反る)ために起こります。頚椎が後屈すると神経の圧迫が強くなり、痛みやしびれが出るのです。特に背中が少し丸くなって来ている方は、どうしても普通のまくらでは低すぎる傾向があります。枕の高さを少し上げてみてはいかがでしょう。今使っている枕の下にタオルを2、3枚たたんで積んでみましょう。夜中に手がしびれないようになるには、自分の体の形にあった高さの枕が必要です。目安としては、姿勢よく立った時の姿勢が横になっても維持できる高さがいいのですが、布団の上ではどうしても頭が沈み込んだり、体が沈んだりして、難しいものです。
デパートなどでオーダーメイドのまくらを販売しているのを時々見かけます。実際買って使った人も何人かおられましたが、せっかく作ったのに、やはり合わなくて使いづらいとおっしゃる方もおられます。寝る時の姿勢は一度合わせただけでは、なかなかピッタリとはいかないようです。高価なものですから、十分注意して決めるのが良さそうですね。
肩こりの原因としては、あまり心配するような病気はない場合が多いのですが、手のしびれが強いようでしたら、神経の圧迫がある場合もあるので、MRIなどで検査した方がいいこともあります。頚椎で神経の圧迫を起こすのは、頚椎椎間板ヘルニアが代表的なものです。
ひと口メモ こむら返りは、なぜ起こる?
こむら返りは筋肉の痙攣です。特に足によく起こりますが、筋肉につながっている神経が傷んでいると、こむら返りが起こりやすくなります。それは、傷んだ神経からは異常な信号が出て、筋肉を刺激し続け痙攣するからです。そこに新たに外傷や、気温の変化、電解質の変動などが加わると、さらに頻繁に起こるようになります。ひどい時は漢方薬(芍薬甘草湯)が有効です。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎の骨と骨の間にあって、しなやかな動きを支えているのが椎間板という軟骨です。これが加齢とともに傷んでくると、首の痛みや肩こり、手のしびれが出てくる場合もあります。痛みや肩こりだけであれば、あまり心配することはない場合が多いのですが、手のしびれがある時は神経の圧迫によることも多いので、MRIなどでの検査をお勧めします。
MRIで椎間板ヘルニアと言われたら、不安になりますよね。すぐ手術になるんじゃないかとか、思う方が多いようです。でも、まずそんな心配はありません。ほとんどの場合は、手術をしなくても自然と良くなります。椎間板ヘルニアになって、手術をしなければならない人は、10人のうち1人か2人でしかありません。肩こりや、首の痛みが強いのですが、そのためだけに手術は必要ありません。どうしても手術が必要なのは、脊髄や神経の圧迫が強くて麻痺を起こしている場合や眠れないほど痛みがひどい場合だけです。
椎間板ヘルニアは、自然によくなることもあります。体の細胞が突出した椎間板を食べて吸収するといわれています。10人起こったとすると、そのうち8、9人は良くなります。腰の場合も同じですが、待つことができれば3ヶ月くらいは経過を見るのが普通です。ただ、あまりにも痛みが強くて薬でも治まらない時や、脊髄の圧迫症状から麻痺が出てきている場合などは、待っている時間はありませんので、手術をせざるを得ません。